個々の電力消費情報をリアルタイムで収集

スマートメーターや新電力で省エネに励めば電気代も安くなり発電量も減らせるといいことづくめ。

スマートメーターは、これまですべての顧客に取り付けられていた、機械的に電気の消費量を測定するメーターに代わるものです。

双方向通信技術を取り込んだ電力消費測定システムはAMI(Advanced Metering Infrastructure:高機能検針インフラ)といわれます。

米国の電力業界は、工場などを対象に数年前からAMIに切り替えてきました。

AMIが需要のコントロールに有効であることは広く認識されていたのです。

取り付けられたスマートメーターは、電力消費の状態を15~30分単位で測り、そのデータを電力供給事業者へ通信網経由で送ります。

このデータを分析すれば、供給事業者はより正確に電力消費の増減がわかります。

供給能力の不足が予測されれば、スマートメーターを経由して顧客に電力消費を抑えてもらうよう信号を送ります。

この信号はピーク時間帯に高くなる電気料金の情報であったり、空調機や冷蔵庫の設定温度を上げて一時的に機器の作動を止める指令であったりと様々です。

電力供給事業者は双方向通信によって信号が有効に機能したかどうかをすぐに確認することもできます。

東日本大震災後の日本でも、この導入が進むと予想されます。

電力消費の抑制と効率化

たくさん使う電気だからこそ、スマートメーターや新電力でしっかり管理したいところ。

電力消費が少なくなれば、発電用化石燃料の消費も減ります。

これまでは「ムダな電気を使わないように」と消費者の気持ちに訴えるだけでしたが、これからは通信技術を使って直接的に消費を抑制する方法がとられます。

伝統的な電力供給方式では、系統を管理する事業者は、電力供給事業者が供給する電力を全体として把握し、需要の変動に応じて発電所の運転や電気の流し方を制御してきました。

しかし、エネルギー消費の効率化や、ピーク需要の引き下げの重要性が高まったため、末端のエネルギー消費をきめ細かく制御する必要が出てきました。

米国は「需要ピーク時の発電設備容量が不足する」という悩みを長年抱えています。

そのため、電力供給の不足が予想された場合に、エアコンの温度設定を変えるよう消費者に依頼する方法の開発を積み重ねてきました。

たどり着いたのが、デジタル技術による双方向通信機能をもったスマートメーターです。

変動しやすい自撚エネルギー大幅導入が本命

消費税や電気代が上がって、世の注目は節電法や新電力などに集まりました。

これまでの送配電系統は天候によって変動する電源を想定していなかったので、自然エネルギーによる発電を大量に受け入れるのは困難です。

そこで、グリッド(網)と呼ばれる送配電系統を強化し、かつ柔軟な制御方式を導入し、さらには今までは制御の対象になっていなかった需要の制御も行う。

これがスマートグリッドです。

スマートグリッドの普及は短期間でできることではなく、10年、20年単位で推進される長期的なプロジェクトとなります。

スマートグリッドという場合のグリッドは、「発電から末端の需要までを含めた包括的なエネルギーの供給・消費システムを意味する」と考えるのが適切です。

このシステムから必要な情報データを迅速に収集処理し、先進的な情報通信技術でスマートかつ精妙にグリッドを制御する。

不安定な自然エネルギーも大幅に取り込みながら、全体として電力供給の信頼性を高めて最大のエネルギー効率を上げる。

言い換えれば、化石燃料の消費を可能な限り低減し、二酸化炭素の排出を抑制する。

これがスマートグリッドだといえます。

再生可能エネルギーの導入

新電力や省エネ家電など、電気代を節約するはまだまだあります。

地球温暖化を阻止するためには、二酸化炭素を排出しない再生可能エネルギーによる発電設備を可能な限り導入する必要があります。

これを可能にしようとするのがスマートグリッドです。

地球温暖化ガスの一つである二酸化炭素の主要な排出源は、石炭や石油、天然ガスなどの化石燃料を使う発電所です。

したがって電気を化石燃料以外のエネルギーで作ることは、地球温暖化防止の有効な方策となります。

また、現在のテンポで消費すれば40年ほどで枯渇するとされる石油資源の寿命を延ばすことにもつながります。

二酸化炭素を排出しない再生可能エネルギーにはいくつもの種類がありますが、中でも世界でもっとも注目されているのは、風力発電や太陽光発電のような自然エネルギーによる発電です。

しかし自然エネルギーによる発電は、天候次第で出力が大きく変動するという特性があります。

電機の製造から使うまでを一体制御

昨今はさまざまな節電方がありますが、新電力や省エネ家電でスマートにエコしたいところ。

中央の制御室は変動が定められた範囲に収まるように発電、送電をコントロールして、電力の需要と供給を一致させます。

電気を送配電系統で貯めることはできないので、需給制御は瞬時に行われます。

制御の過程では、変電所のスイッチを切り替えたり、変圧器で電圧を調整したり、様々な操作をきわめて短時間の問に行います。

こうした制御は物理的な機械操作が多いのですが、これをデジタル技術による操作に切り替えるのがスマートグリッドの重要部分です。

系統の末端まで多くのセンサーを組み込めば、需要の変動を迅速に把握することができるし、信頼性が向上しエネルギー効率も上がるとされています。

また、欧米の送配電網は40~50年前に設置されたままのものも多いため、これを新しいものに取り替えるだけで、送電ロスは10%下がるといわれます。

日本は送配電系統制御のデジタル化が進んでいるために、スマート化の必要度は低いのですが、欧米では送配電制御のデジタル化はスマートグリッドブロジェクトの中核部分です。

そして消費者の需要情報を集約することによって、不安定な自然エネルギーによる発電も制御するのが次のステップです。

電力供給制御のデジタル化

節約の基本は無理なく無駄なく、スマートメーターや新電力でコツコツ節約したいですね。

発電と送配電は需要に即応でぎるよう常に制御されています。

しかし需要については「変動するのが当然」として、制御の対象になっていませんでした。

スマートグリッドは通信技術により供給と需要の双方を制御します。

電気は発電所で作られます。

発電所で作られた電気を住宅や建物、工場などに送り届けるのは送配電系統です。

発電、送電、配電のシステムは、常に需要に即応した供給ができるように中央で制御されています。

発電所には火力、水力、原子力などがありますが、需要の変動を過去の経験や季節の変化から予測して、最適な発電所を組み合わせて運転します。

「工場が急に止まって電力消費が減る」「予想以上の暑さで冷房のスイッチが一斉に入る」というような状況になると、このような需要変化は電圧変動や周波数変動という形で検知され、その情報は中央の制御室に送られます。

世界でプロジェクト進行中

消費税も上がり、生活が苦しいですし、新電力や省エネで少しでも電気代を抑えたいところ。

韓国やシンガポールなどでは安全保障の一環という意味合いを含めて、スマートグリッドを導入するプロジェクトが始まっています。

ここで留意すべきことは、国によってエネルギー事情や発電、送電、配電の整備の状況が大きく異なるということです。

そのためスマートグリッド構築を推進することによって実現すべき項目の優先度も大きく異なるのです。

発送電能力が絶対的に不足する途上国では、新規設備はすべてスマートグリッドを前提にするでしょうし、先進国ではまず電力需要を抑制するところから手をつけるでしょう。

日本でもスマートグリッドの導入は検討されています。

しかし、日本は発・送配電系統の整備と信頼性は世界一といわれるほどですから、欧米と同じような形の導入はないと考えられていました。

ところが、2011年3月11日に起きた東日本大震災、東京電力福島原子力第一発電所の事故をきかっけに電力ピーク需要の抑制を目的とした本格的導入が必然となりました。

各国のスマートグリッド

家庭でもオフィスでもスマートグリッドや新電力を生かして省エネに取り組みたいところ。

オバマ政権がスマートグリッドを推進し、スマートグリッドという単語がそのま家日本で紹介されたために、米国で新規に始められたプロジェクトであるかのような印象をもたれていますが、それは誤解です。

米国ではスマートグリッドという言葉は以前から使われています。

エネルギー自立・安全保障法(Energy Independence and Security Act of 2007)に、もっとも重要な方策の一つとしてスマートグリッドの推進が入っています。

この法律は米国全体のエネルギー効率を上げ、再生可能エネルギーを導入することによって、石油輸入を減らし、国内の石炭や天然ガスを長持ちさせて、米国の安全保障レベルを上げようとするエネルギー政策です。

欧州でも、EU(欧州連合)が2006年にスマートグリッドのビジョンと戦略に関する報告書を出し、送配電系統の効率化と高度制御に向けたスマートグリッドの実現が検討されています。

また、送配電網が十分に整備されていない中国を中心にしたアジア諸国、中南米や中東・アフリ力諸国などでも、安定した効率の高い系統の構築に向けて、急速にスマートグリッド導入の気運が高まっています。

米国再生・再投資法の中味

スマートメーターや新電力などと言った、新しいシステムをご存知だろうか。

「ニューディール」という言葉は、1933年にフランクリン・D・ルーズベルト大統領が打ち出して成功したニューディール政策に由来しています。

今回の米国再生・再投資法の核となるエネルギー分野への投資の中身を詳しく眺めてみましょう。

先にエネルギー分野への予算は375億ドルと述べましたが、他の分野のエネルギーに関係するものも合わせると417億ドル(約3兆7千億円)に上ります。

中でも重点的に予算をあてられているのがスマートグリッドで、110億ドルという大きな額になっています。

スマートグリッド推進プロジェクトは、まず送配電系統の信頼性を向上させ、効率的に電気を送ることができるように設備を更新・増強します。

次いで、風力発電や太陽光発電のような変動する自然エネルギーの導入を大幅に拡大させると同時に、エネルギー消費を効率化するためにエネルギー需要自体を制御しようとするものです。

このプロジェクトの中には長期計画の初年度予算となるものも多いのです。

注目されたきっかけ

ようやく普及してきたスマートグリッドや新電力を上手に使いたい。

2008年12月に米国大統領に就任したバラク・オバマ氏は、世界的な経済不況から米国経済を立ち直らせる政策を「米国再生・再投資法」に示しました。

この法律が世界中でスマートグリッドが議論される起爆剤となりました。

米国再生・再投資法(American Recovery And Reinvestment Act of 2009)は、2009年2月17日にオバマ大統領が署名して発効しました。

予算は総額3,110億ドルで6つの分野に区分されています。

エネルギー関係向けには12%に相当する375億ドルがあてられていて、そのうち300億ドルを超える額がエネルギー・インフラに振り向けられています。

エネルギー関係以外でこれより大きい額になっているのは、一般のインフラ(ここにもエネルギー分野が入っている)と科学分野に1,200億ドル、教育と訓練に1059億ドルです。

エネルギーについては、とくに「エネルギー利用効率の向上」「再生可能エネルギーの導入促進」といった環境分野に焦点が当てられています。

そのためオバマ政権の政策はグリーン・ニューディールとも呼ばれるようになりました。