米国再生・再投資法の中味

スマートメーターや新電力などと言った、新しいシステムをご存知だろうか。

「ニューディール」という言葉は、1933年にフランクリン・D・ルーズベルト大統領が打ち出して成功したニューディール政策に由来しています。

今回の米国再生・再投資法の核となるエネルギー分野への投資の中身を詳しく眺めてみましょう。

先にエネルギー分野への予算は375億ドルと述べましたが、他の分野のエネルギーに関係するものも合わせると417億ドル(約3兆7千億円)に上ります。

中でも重点的に予算をあてられているのがスマートグリッドで、110億ドルという大きな額になっています。

スマートグリッド推進プロジェクトは、まず送配電系統の信頼性を向上させ、効率的に電気を送ることができるように設備を更新・増強します。

次いで、風力発電や太陽光発電のような変動する自然エネルギーの導入を大幅に拡大させると同時に、エネルギー消費を効率化するためにエネルギー需要自体を制御しようとするものです。

このプロジェクトの中には長期計画の初年度予算となるものも多いのです。

注目されたきっかけ

ようやく普及してきたスマートグリッドや新電力を上手に使いたい。

2008年12月に米国大統領に就任したバラク・オバマ氏は、世界的な経済不況から米国経済を立ち直らせる政策を「米国再生・再投資法」に示しました。

この法律が世界中でスマートグリッドが議論される起爆剤となりました。

米国再生・再投資法(American Recovery And Reinvestment Act of 2009)は、2009年2月17日にオバマ大統領が署名して発効しました。

予算は総額3,110億ドルで6つの分野に区分されています。

エネルギー関係向けには12%に相当する375億ドルがあてられていて、そのうち300億ドルを超える額がエネルギー・インフラに振り向けられています。

エネルギー関係以外でこれより大きい額になっているのは、一般のインフラ(ここにもエネルギー分野が入っている)と科学分野に1,200億ドル、教育と訓練に1059億ドルです。

エネルギーについては、とくに「エネルギー利用効率の向上」「再生可能エネルギーの導入促進」といった環境分野に焦点が当てられています。

そのためオバマ政権の政策はグリーン・ニューディールとも呼ばれるようになりました。

もっとも重要な目的は

工場でも家庭でも電気代は悩みの種、新電力やスマートメーターを活用したいところ。

自然エネルギーを使った発電は出力が不安定なものが主流なので、新しい系統制御方式の導入が必須です。

そして、需要の制御や系統の制御を情報通信技術により相互に連係し、発電から消費までの全体システムが最大効率になるように運用するのです。

これまで電力事業者は、電力系統は制御・管理していましたが、需要の制御を個別に行うことはありませんでした。

スマートグリッドでは、発電から需要までを情報通信技術によって包括的に制御します。

欧州は地球温暖化ガス排出削減に意欲的な目標を定めていますが、スマートグリッドの実現なしには目標の実現は難しいと考えています。

なお、日本の場合、一つの電力会社が発電から送配電、消費者への供給まですべてを行っています。

ところが欧米などでは、発電をする事業者、送電をする事業者、送電系統を制御する事業者、電気を供給する事業者が別々になっている場合が多いのです。

このため、消費者に電気を供給する事業者を「電力会社」といわず「電力供給事業者」と表現しています。

スマートグリッドを短く説明すると

最近流行の新電力やスマートグリッド、いったいどんなものでしょう。

「スマート」は賢い、有能な、という意味で、「グリッド」は送配電系統網を指します。

スマートグリッドは「次世代送電網」と呼ばれるように、従来の発電、送電、配電の形を革新的に変えるものと考えられています。

スマートグリッドが目指すところは、電力系統を流れる電気エネルギー全体の利用効率を大きく上げ、発電所で使われる化石燃料の消費を引き下げることです。

そのためにまず、個々の住宅やビルに電気の使用をできるだけ効率化するシステムを導入します。

双方向通信機能をもったスマートメーターを設置し、電気の消費をリアルタイムで計測したデータをメーターから電力供給事業者に通信で送るのです。

データを受けた電力供給事業者は信号を送り返し、個別の電力消費を抑制するなどの制御を行います。

送配電系統の側では、地球温暖化防止の切り札である風力発電や太陽光発電をできるだけ多く接続して受け入れます。

熱工ネルギーを電気工ネルギーに

蒸気タービンとガスタービンの2つを組み合わぜたのが、コンバインドサイクル発電です。

最初に高温のガスでガスタービンを回し、その余熱をさらに利用して蒸気を発生させて蒸気タービンも回します。

つまり、1回のサイクルで2回タービンを回すのです。

発電効率はその分高くなります。

技術開発は着々と行われており、熱効率は現在約60%にまで達しています。

経済性に優れていることに加え、C02排出原単位も改善されるので、地球温暖化防止の観点からも注目されています。

電力会社も導入に積極的で、九州電力の新大分発電所や関西電力の堺港発電所など国内での導入事例も増えています。

火力発電にはその他、内燃機関によって発電する内燃発電という種類もあります。

ディーゼルエンジンがその代表です。

出力は比較的小規模で、自家発電機としで使用されているほか、電力会社も電力系統から遮断された離島などで採用しています。

新電力で、省エネに貢献しましょう!

火力発電の仕組み

火力発電とは、石炭、石油、天然ガスなどの化石燃料を燃やして発生した熱工ネルギーを電気工ネルギーに転換する仕組みです。

出力の調整が容易なことなどから重宝されていますが、燃料を燃やす段階でCO2を発生させるという欠点があります。

火力発電の中にもいくつか種類がありますが、最も一般的なのは汽力発電です。

化石燃料を燃やした熱で水を沸騰させ、蒸気を発生させます。

その蒸気でタービンを回し、タービンとつながった発電機によって電気を作ります。

蒸気は復水器で冷やされて再び水に戻り、再利用されます。

復水器では大量の水が必要です。

火力発電所が海の近くに建設されることが多いのはそのためです。

蒸気ではなく高温のガスを利用するガスタービン発電という発電方法もあります。

長所は、比較的小型で高出力が可能であること。

また、建設期間も半年程度と短くて済みます。

新電力など、手軽に始められる省エネ活動もあります。

近年は再び水力発電に脚光

2度のオイルショックを契機にLNG火力や原子力発電の導入が進み、水力発電の比率はさらに小さくなっていきました。

近年では太陽光や風力など分散型の再生可能工ネルギーの導入量が増えています。

時代によって”主役”となる電源は変わっていくのです。

とはいえ、全国の水力発電の設備容量は現在でも約5,000万kW。

日本全体の発電電力量の約1割を供給しています。

今なお重要なエネルギー源であることは間違いありません。

熱利用なども含めた国産の一次エネルギー全体で見れば、約3分の1を占めています。

それに水力発電への注目度は近年、改めて高まっています。

国内の水資源を利用する純粋な国産工ネルギーであり、発電時にCO2を排出しないクリーンエネルギーであることが再評価されているのです。

建設から廃棄まで含めたライフサイクルでのCO2排出原単位は、電力業界の計算によると0.011kg-CO2/kWhで、太陽光、風力など他の再生可能エネルギーよりも低い値です。

節電のためにも、新電力などを利用したいです。

「水主火従」から『火主水従」

1950年代まで、日本の電力供給の柱は水力発電でした。

いわゆる水主火従の時代です。

戦後の復興が本格化する中で、右肩上がりで伸び始めた電力需要をまかなうため、全国各地で水力発電の開発が行われました。

9電力会社が開発を競ったほか、国策会社として設立された電源開発(Jパワー)も大規模水力の開発に取り組みました。

中でも有名なのが関西電力の黒部川第4発電所の開発です。

1956年に始まったダムの建設工事は大変な難工事で多くの犠牲者を出しました。

後に石原裕次郎主演で「黒部の太陽」というタイトルで映画化され、戦後の復興の象徴として今も語り継がれています。

しかしその後、水力発電は電力供給の主役の座から離れます。

石油を燃料とする火力発電の導入が全国的に進んだからです。

発電電力量で火力発電が水力発電を上回ったのは1962年。

火力発電所はそれ以後も増え続け、「火主水従」の時代を迎えます。

震災以降、新電力のようなサービスも活性化しています。

ダム式は需給調整の役割

需給調整とは何でしょう。

電気の需要は季節や時間帯によって大ぎく異なります。

冷暖房需要が伸びる夏や冬は電気の使用量が増える一方で、春や秋は比較的需要は少ない。

一日の中でも、経済活動が活発な日中は電気の消費は多いですが、深夜の使用量は大きく落ち込みます。

そんな電力需要の変化に合わせて電気の供給量を上げ下げすることを需給調整というのです。

調整池式と比べると、貯水池式の方が比較的大規模です。

電力需要が少ない時季に水を溜めておき、需要が伸びる夏や冬に放出します。

調整池式は、溜め込みと放出のサイクルがより短く、夜間や週末に溜めた水を日中の需要のピーク時に放出します。

揚水式もダムに水を溜め込む点では同様ですが、違いは溜め込む水を下流から電気を使って引き上げることです。

上流と下流の2つのダムを持ち、発電所は下流部にあります。

需要の少ない時間帯に下流から上流に水を引き上げておき、需要のピーク時にその水を下流に流し込むことで発電します。

他の方式に比べて構造は複雑で建設コストがかかるため、発電単価は高くなります。

揚水式は、原子力発電所とセットで作られることが多いです。

原発は安全上、常に出力100%で運転しており、深夜に電気が余る可能性があるからです。

新電力を活用するオフィスも少なくありません。

水力発電

水力発電は水の流れる力を利用して電気を作る発電方法です。

水が上から下に流れる勢いで水車を回して発電します。

水の位置工ネルギーを電気エネルギーに変えるということもできます。

大きく分けて流れ込み式、貯水池式、調整池式、揚水式の4種類があります。

構造が最も単純なのが、流れ込み式。

河川の途中に発電機を置くだけです。

あとは放っておいても川の水がタービンを回し、基本的に不眠不休で発電し続けます。

当然のことながら、発電単価は安くなります。

そのため、需要の変動にかかわらず出力100%で運転し続けるべース電源として活用されています。

残りの3方式はいずれも水を溜め込むダムを持ち、需給調整の役割を担っています。

新電力に興味を持つ人も増えてきました。